フィクション
"出来ることなら明日にでも結婚したい"
私の知っている貴方から想像つかない言葉。
ふと脳裏の浮かぶのは、環状通沿いのスタバ、ホットコーヒーを向かい合わせで飲む姿。
私が持ってる貴方の記憶はきっとあの時で止まっている。
結婚なんてフレーズは簡単に口にするものじゃない。出来ることなら一生に一度でいいくらい。誰もが知っているのだろう。ただ、年齢を重ねるほど意識はして生きているのだと思う。安定や幸せを求めるのは一般的だ。
貴方の芯はいつ見てもブレることはない。だからきっと実現してしまうのだと思う。
来年になったら状況が一気に変化することばかりで、考えることはたくさんだと言っていた。
"全部似合ってないね"と言ってしまいたかった。こんな話をするようになったかと成長したと言うべきなんだろうか。物理的に遠くにいても離れた人と感じなかったあの不思議な感覚はどこに行ってしまったんだろう。あの頃全部眩しく見えたのはどうしてなんだろう。
いつからか、私は誰もいないタイミングを狙って帰っていて、実際に会うことはしていない。東京で会うことも何かと理由をつけてしてこなかった。向かい合わせで座ることがもう出来ないと思っていたからかもしれない。
反対にSNSを通じて生存確認される私は、人々の中で本当に生存しているのか正直不安にも思っていた。
相変わらずの矛盾に笑ってしまう。
会わずして3年目の夏、貴方は普通になっていた。
元々普通だったと言われてしまうんだろう。本質的な部分は変わってないけれど、古くなったぬいぐるみみたいだった。
もうきっと蓋をしなくても大丈夫だと思った。
いつまでも私の中の憧れだった人には変わりない。ただ、今は違うだけの話。私もきっとあの頃と比べれば変わった。もう自分のことを知られても、ただ嬉しく思う。
まだ貴方に話せてないことがある。また今度話す約束をして今日は解散。